藤本先生「宝塚ジビエ」を知る

山村や農村での人々の活動が停滞すると…動物たちの活動が活発になります。
このように聞くと、童謡「森のクマさん」的にノホホンと聞こえるかもしれません。

ところが、この問題は想像以上に深刻な問題となっています。
動物が人里に降りてきて田畑を荒らし、時には人を襲うこともあります。


かつては、人里と山との間には「里山」という緩衝地帯があって、
その緩衝地帯のおかげで、人と動物は一種の棲み分けができていました。

ところが、人が管理する「里山」が荒廃したことによって、
山と人里とが直接的に隣接するようになっていきました。

イノシシ…水田で泥浴びして稲を荒らし、
畦を崩して水路に土砂や石を落とします。

サル…片っ端から農作物を荒らします。高級なものから狙います。
知能が高く、集団で戦略的にやってくるので対策が困難です。

シカ…樹木の表皮を剥ぎ取って食し、樹木を立ち枯れさせます。
他にも、田植え直後の苗など、とにかく山野の植物を片っ端から食い尽くします。

クマ…甘いものが大好きで民家の果樹を食べに来るほか、
ときにはその力強い腕力と牙を使って人を襲うこともあります。

他にもヌートリア、アライグマ、アナグマ、タヌキ、ハクビシン…
養父市の場合、農業と林業をあわせて3千万ほどの被害額にも上ります。

動物好きの人にとってはカワイイ動物たちに見えたとしても、
農業や林業に携わる人々にとっては非常に深刻な問題です。

そうした状況に対して活躍する人々が「猟師」と呼ばれる人々です。
害獣と呼ばれる動物を様々な方法で駆除します。

ということで、前置きが長くなりましたが、
今回は養父市大谷地区の「宝塚ジビエ」さんのところに行ってきました。


宝塚ジビエを訪問して最も驚いたことは「鹿肉」のクオリティ!!
品質管理を徹底していて、確かに見せてもらった肉は…美しい…。

「本当の鹿肉の味を知ってもらいたい」ということで最初に振る舞って頂いたのは、
低温調理器を使って作られた鹿肉!! 臭みはなく、味は甘みを感じる赤身肉でした。


今回はこの絶品の鹿肉を食べながら、
狩猟から屠殺、精肉までの過程をビデオを見ながら丁寧に説明して頂きました。

これは以前から聞いて知っていたことですが、
ジビエの肉として鹿肉は市場にはあまり出回りません。

イノシシの場合にはざっくりで5割り程度が可食部となりますが、
シカの場合には2割り程度で、解体にかかる苦労に対して可食部位が非常に少ないのです。

そのため、実際にはシカに関しては駆除だけして、
時には薬殺して、そのまま廃棄することもあるそうです。

ちなみに、猟師にとって実入りが最も良いのはクマらしく、
報奨金も他の動物とは比べ物にならないそうです。

実は、宝塚ジビエさんで熊肉を少し分けて頂いて家で食べましたが…
思ったほど臭みはなく、ジビエ好きにとってはむしろ美味な領域でした。

さて、宝塚ジビエさんでは本当に色々なことを教えて頂いたのですが、
その中でも気になったのは動物たちの病気についてです。

私は子供の頃から鹿肉は大好きで、鹿肉を刺し身で食べたり、
鹿肉のカツレツ(イェーガーシュニッツェル)が大好物でした。

ところが、今は肝炎(HEV)にかかっているシカも増加傾向にあるそうです。
HEVは一定の加熱によって死滅するということで、必ず加熱するようにしましょう…。

他にもイノシシが全体的に減少傾向にあるという話も聞きました。
ブタ熱の影響も考えられるとのことですが、養父市ではシカの方が深刻なようです。

獣害問題は農林業においては非常に重大なテーマなのですが、
今回は猟師という視点から話を聞くことができました。

それにしても…宝塚ジビエさんで購入した肉は本当に美味でした。
今回は洋風にしましたが、しゃぶしゃぶにして柚子山椒というのもありだと思いました。

↑自作の創作ジビエ料理

↑鹿モモ肉のイェーガーシュニッツェルとピルツソース

↑熊肉とキノコのグリル・カレー風味

↑鹿モモ肉の赤ワイン煮込み

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